手間暇ってご馳走だ!おきたま伝承料理集「つなぐ」

 

置賜の味

米沢生活5年もすぎると、舌も置賜仕様になってくる。
とんこつラーメンに馴染みすぎて、米沢ラーメンのあっさり醤油味に物足りないさを覚えていたのが、ある時から「あ、米沢ラーメン食べたい」と思うようになる。
もちろん、とんこつラーメンにはとんこつラーメンならではの美味しさがあるわけなのだけれど、置賜地方の、特に寒さの厳しい冬には、体を芯からあっためてくれるさっぱりとした醤油ラーメンが合うんだと思う。
(だから冬場にラーメン屋さんが混んでいる理由はよくわかる)

米沢にやってきた当初、カラカラに乾いた魚がずいぶんハバを利かせているなぁ😁
と驚いたものだけれど、それも海がない地域ならではの食べ物の工夫と智恵。
どこへ行っても、その土地に合った味、風土に育まれた味というものが存在するんだとしみじみ感じる次第です。

海がなく、冬が厳しい置賜地方。
昔の人にとってそれが意味するところは、❝食料確保の難しさ”。
その結果生まれた置賜のお料理の多様性は私にとって驚きでした。
なんといっても道端に生える「ひょう(スベリヒユ)」を食べるだけでなく、それをさらに干して保存食にまでするのだから!

おきたま伝承料理集「つなぐ」


冗談はさておき、そんな置賜が誇る、豊かな料理のレシピ集が出たのです。

おきたま伝承料理集「つなぐ」

置賜の食材を使った、各家庭に伝わる家庭料理郷土料理を一冊にまとめたレシピ集。

「先人の知恵の賜である食文化」を、地域資源として次世代につないでいくための、保存食 と 発酵食 がテーマの 伝承料理集

と謳っています。

私が米沢にやってきて「あ、いいなぁ」と思ったお料理の代表は、なんと言っても❝冷や汁(ひやしる)”。
そこはかとなく品があり、しみじみと旨味を感じる上級な一品です。(人´∀`).☆.。.:*・゚

あんまり感動したので家でテキトウ極まりなく作ってみたら、単なる❝テキトウ極まりない味の何か”になってしまったという悲しい思い出があります。

本をめくるとそんな冷や汁のレシピが本に載っているではありませんか((o(´∀`)o))ワクワク
しかも春夏秋冬4バージョンある!

さっそく作ってみました(*˘︶˘*).。.:*♡


季節は冬。
レシピ集には材料として雪菜、小野川豆もやし、ほうれん草、とありますが、まだ雪菜の出回らないころだったので、秋と折衷して、菊を使いました。

ほうれん草も買い忘れてしまったので(;´∀`)家にあったカブの葉っぱで代用。結構行き当たりばったりな滑り出し。。

夏の材料に“とうもろこし”もあったので、こちらもいれてしまうことにしました。

まずは基本材料の凍みこんにゃくを水につけ、水が濁らなくなるまで揉み洗い、と。φ(..)メモメモ

干し貝柱を水につけて戻し、ほぐす。φ(..)メモメモ

干ししいたけを水につけて戻す。打ち豆を水につけて戻す。φ(..)メモメモ

という感じで、ひたすら戻し作業。


お次は菊をガクからむしって花びらに。

お花を食べるって雅だわ〜(*´-`*)♡
などと余裕をかましていると結構量があって次第に面倒くさくなってくる(;´д`)…

ちょっぴり酢を入れたお湯(菊の変色を防ぐため)で茹でると・・・

あっという間にテニスボールくらいの塊にぺちゃんこに。

そのほかの材料も、小野川豆もやしは水から茹でる、ほうれん草(今回はカブの葉)は塩を入れたお湯で茹でる

と、茹でる作業が続く

伝承料理さん。
細々とした手間が、一つずつかかるねぇ


基本材料ともどし汁、調味料をいれて煮る。

結構アクがブクブク.。o○.。o○
丁寧に掬いとって、出来上がったら冷ます。

ぬおお、あと少しだ!がんばれ、わたし!

先ほどひたすら茹でて取り置いた材料を加えて混ぜあわせて、一時間位冷やしたら・・・・

冷や汁完成!!! 一般的には小鉢なんかにお上品に盛ります

感動。(*˘︶˘*).。.:*♡
山形を代表する冷や汁を作ってしまった。じーん。味も美味しいではないですか!
(調子に乗ってmeets8の巣にも持って行ったところ、無事合格点をもらえました😁✧)

打ち豆や干ししいたけ、干し貝柱、凍みこんにゃくなど、干されて旨味もりもりになった材料たちに季節の材料の味がからんで、これはもう、旨味祭り感動の大団円。

油を使わない料理なのだけれど、素材のうまさが混ざりあうことで深く、しみじみと美味しい。
里帰りしたときに、両親や兄弟、そのお嫁さんたちに作ってあげたいなと思いました。
このお料理は手間だけど、きっと「おいしい」と言ってもらえる確信があります。
昔の人々が編み出した智恵と工夫、そして作り手の想いがあるから。
手間だけど、そうやってでも大切な人に作り、もてなしたいと思わせる、善きお料理です。

そうか、手間をかけるってご馳走なんだ。
そんなことを再確認させてくれるお料理でした。
また一つ、置賜の階段を登れた気がします。

petit aya

「ひょう(スベリヒユ)」実は栄養価抜群◎

おきたま伝承料理集「つなぐ」
1620円(税込)
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ちびっこい体で置賜をうろついています。 好きなものはおもち。おいしいお団子やおもちに出会うと買ってしまわずにはいられない。 つまり置賜はおいしいワナでいっぱいってこと。
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